土のお話

水と土と緑の物語のところで、土についての話をしました(参照)。土は生き物たちが、水を蓄えるためにつくったと説明しました。土にどんな秘密が隠されているのでしょう。

左は有機野菜の畑の土、右は千葉の赤土

2つの土は何が違うのか

畑の土
赤土
こげ茶色 黄土色
手触り 少し湿っている やわらかい ぼそぼそ 塊になっている
土に混ざっているもの 根 そのほかたくさん あまりない
重さ 重い 軽い
植物 よく育つ あまり育たない

ちかくの2種類の土を比べてみました。ひとつは有機野菜と作っている土。もうひとつは千葉から運ばれたという赤土です。2つの土を比べてあきらかなのは、植物の育ち方です。畑の土で育った植物は茎も太く、元気そうでうが、赤土で育った植物はやせ細っています。そのほかにも2種類の土を比べると、上の表のような違いが見えてきました。さらに水の中に2種類の土を入れて比べてみました。

水に土を入れた実験

3分ほどおいておくと、違いがいくつか見つかりました。ひとつは色です。濃い・薄いの関係もあるのかもしれませんが、赤土の水のほうが、透明度が高いようです。畑の土のほうは、表面に浮かんでいるものがたくさんあり、泡がガラス面にたくさんついているのがわかります。

土の役割

土にはどんな役割があるでしょう。水を蓄える?植物を育てる?周りを見渡して、土がどんな働きをしているのか調べてみましょう。つちと関わりあっている生き物はいますか?

土の少ない都会の問題

みなさんは、家から学校へ行く間に土を踏みますか?くつを調べてみてください。雨の日などは、土がついているかもしれません。都会の生活では土はあまりいいものではないという考えが、長い間浸透しています。土の道は汚れるし、砂埃がたったり、くぼんだりして不便です。水はけも良くない。そこで土の上にどんどんとコンクリートをかためました。水は排水溝をつくって、なるべく早く川に流すようにしました。それによって、生活は便利になりましたが、問題も出てきました。まず土がなくなったので、植物や虫たちが減りました。コンクリートにさえぎられて孵化できなかったセミもたくさんいるでしょう。蜜を集められないミツバチがいるかもしれません。また、「ヒートアイランド」という現象がおこってきました。これはアスファルトが太陽によって暖められ、温度が高くなるというものです。都会では、郊外よりも5度から10度も高いところもあります。ヒートアイランド現象が起こると夏は暑くなるので、クーラーが必要になります。室外機から温風がだされ、都会はますます暑くなります。熱風が上空に巻き上がり、郊外では雷をともなった、集中豪雨がふえます。これは1、水を蓄える土がなくなった2、水分を出す樹木が減ったなどの原因が考えられています。アスファルトの上と土の上での温度の差はどうなっているでしょうか?

これまでの街づくり

これまでの街づくり、もっと大きく言えば、現代の日本の社会は土を考えない街づくりでした。山の土はどんどんと海にながされ、土はやせています。これは将来に、何か影響があるのでしょうか?今の時代と比べて、土を大切にしていた時代がありました。江戸時代です。江戸時代までの日本は、木や川やリサイクルに対してとてもきびしい規制がありました。江戸時代の状態と今の状態を比較してみましょう。どんな違いが見えてくるでしょうか?

土をつくってみよう

実際に土をつくって見ましょう。バケツを用意してください。下にドリル穴をあけます。雑草をむしってどんどんバケツに入れます。間に少しづつ土を入れて、サンドイッチの状態にします。いっぱいになるまでため、一番上に土をかぶせます。表面が乾いたら、水をいっぱいにかけてあげます。日当たりの状態、温度など、いろいろな条件で観察してみましょう。ミミズを入れたバケツと、入れないバケツでの違いはどうでしょう。春であれば2ヶ月ほどで草はほとんどなくなると思います。できた土で植物を育てて見ましょう。

バケツに入れた草と土

土の観察には時間がかかります。「観察ノート」をつくって、週に一度くらいのペースで観察してみましょう。また土にいる生き物を顕微鏡で観察するなど、独自の研究をしてみてください。

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