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セミの脱皮ショー

夕方6時半、薄暗い庭を懐中電灯を片手に木の根元を一本一本照らしてまわります。するといました。地面のなかからでてきたセミの幼虫がじっとしています。あたりにはセミの抜け殻があちこちに落ちていて、中身が入っているかどうか見ただけではわかりません。「ふぅー」と息を吹きかけて抜け殻がゆれなければ、それは今晩脱皮するセミです。

屋内の観葉植物の根元に放しておくとえっちらおっちらと上に登っていきます。いいポジションを見つけるとしばらくじーっと、動かなくなります。電気を消して準備の邪魔をしないようにこちらも息を潜めます。

9時を過ぎたころ、脱皮がはじまりました。「ビクッ、ビクッ」と体を動かしながら透明な体を反り返らせます。抜け殻がよほどしっかりと植物を捕まえているとはいえ、まさに命がけです。

近所のレイナちゃん(5歳)はこの様子を見て目がいつもの3倍くらい大きくなっていました。いつもあつめている抜け殻でもない、アブラゼミでもないこの光景に、彼女は何を思ったのでしょう。恥ずかしがり屋のレイナちゃんは帰るまで一言も話してくれませんでした。

翌朝、真っ白なセミはいつもの茶色のアブラゼミになっていました。窓を開けて放り投げてやると、私におしっこをひっかけて飛んでいきました。やっぱりいい迷惑だったのでしょう。ごめんね。

 

セミの脱皮は腹筋が命 おりゃーー!

 

 2002年 8月 26日 ヒロ  

           
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