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切り立った山に囲まれた冬の椎葉村。南国・宮崎とは思えない寒さで、心も体も凍りつくようだ。とても気温だけのせいとは思えない。 筆差しには薄い氷の膜が張り、絵の具は紙の上でシャーベットになった。手足の感覚がだんだん無くなり、頭がぼんやりする中で絵を描いた。 『大久保のヒノキ』は源平の合戦で破れた平家が、命からがらこの地へ逃げてきた時に、手植えされたものだといわれている。ヒノキの根元は集落の墓で、墓標を立てることができなかったため、この木を植えたそうだ。 ヒノキは燃えるように鮮やかな朱色をしていた。その姿はなんともいえず美しかったが、命を吸われるような不思議な恐ろしさもあった。 |
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