9,4m
訪問日
渓流沿いの細い道をさかのぼっていくと、廃村の入り口にぽつりとたっている。ぞうきんを絞ったようにねじれた姿から、地元では『おおまき』と呼ばれている。
近くの沢に清水が二つながれていて、片方に「甘口」、もう一方には「渋口」とかかれた立て札があった。飲むとたしかに甘口のほうが口の中で丸い。夜、唐松の枝を集めて火を起こし、ウィスキーを二つの清水で割って飲み比べをした。ウィスキーは凍えた体によく染み込み、唐松はぱちぱちと火の粉を舞い上げて燃えた。
焚き火のにぎやかさが、心の慰みになった。
[戻る]