3000年
6,2m
訪問日
1998年7月9日
「本当にここに泊まるの?」ここまで送ってくれたトラックのお兄さんが呆れ顔で聞いた。地元の人でもあまり訪れないような、人里はなれた静かな丘に水松はひっそりと立っていた。昔、アイヌはこの木を待ち合わせの目印にし、また神として崇めていたという。見上げると、この地がまだ神の手にあった時代に自分がタイムスリップするような錯覚に陥る。とっぷりと日が暮れるまで水松を眺めていた。
夜になるとぽつりぽつりと雨がテントを叩いた。翌朝、雨にぬれた水松はキラキラと輝き、生まれたばがりのような初々しさを見せていた。
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