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まるで巨大な花のような、なんとも変わった姿の木である。吉野杉を代表とする『表スギ』に対し、芦生スギなど日本海側のスギは、『裏スギ』と呼ばれている。 裏スギは、吹きつける重い雪で幹が折れると、その横から新しい芽を出す。それが年々ものあいだ繰り返されるとこのような姿になるそうだ。湿った雪のせいでまっすぐに伸びることができない杉が、長い年月をかけて獲得した『知恵』といえるだろう。生命のもつ潜在能力の一端を、このスギは示している。 同じようなスギは、同じ斜面のあちこちで見られた。この山は個人の持ち山のため、このような木が残されたが、他の山ではほとんど見ることができない。幹周の測定値が他のスギよりも大きいことから、見物者が激増しているという。山の秩序を乱さないよう配慮が必要だ。
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